学校登山をまたまた考える

マナスル山荘本館の山口です。

今日も学校登山が4〜5校が同じ時間に重なりました。特にひどい学校が1校、今日はそのことについて書きます。

最初に言っておきますが、私は学校登山に反対でも賛成でもありません。いま、入笠山で行われている学校登山(特に小学校)が教育の場としてどうなのか?を教育関係者、児童の親御さん、地域の関係者でもう一度考え直す必要があるのではという問いかけをしているのです。というか、その現場は常識から考えてもあり得ないほどの無法ぶりです。小学校と教員が行っていることですよ!

これは入笠山だけの問題ではなくて、富士町(学校登山を受け入れる各地の行政側の方々)、教育関係者、「信州の山 新世紀元年」とうたう長野県、山の日制定で浮かれている?国会議員、各地の山案内人や山岳ガイド・・・山にかかわるすべての方々で考えてほしいと思います。

私もやっていますが、トレイルランニングという山を舞台にした新しいスタイルのスポーツが山関係者の間で問題提起されています。

TBS番組「噂の!東京マガジン」に苦言を呈す2014年5月25日(日)放映のテーマ「トレイルランニング」に関して)

トレイルランニングの未来を考える全国会議(2014年4月28日開催)

ハイカーや登山者から山を走るトレイルランナーのマナーや行動が目に余るという苦情が相次ぎ「このままでは山からトレイルランナーが排除されてしまうので同じフィールドを共有して譲り合っていこう」という問題です。なぜトレイルランナーが問題なのか?

  • 山を走るのでぶつかった時に危ない
  • 何も言わずに追い抜いていくので危険
  • 山が荒れる
  • レースが開催されると山を歩けない
  • ・・・・・

といった問題、特にトレイルランナーのマナーについての苦情が多いようです。

私もトレイルランニング愛好者の一人ですが以前から、山のルールを守ること、「弱者優先」でトレイルランナーは山を走れる体力や技術があるのだから山では道を譲るのは当たり前、ということを伝えてきました。

では学校登山、特に小学校の登山はどうなのか?

  • 100名以上の児童が列をなして登る
  • 登山道を外れたり草地に大勢入り込んでの踏み荒らし
  • 山頂に同時に立つ(1校だけではなくて複数の学校が)
  • 大声で「ヤッホー」と連呼する(どなる)
  • 枯れ枝を拾ってきてはその辺に捨てていく

これってなにかと同じじゃないですか?

一般公道で、何台ものオートバイで、道をふさぎ、けたたましい排気音をわめき散らしながら、後続車の通行を邪魔をするあの連中ですよ。

同じことを小学校の登山では先生の指導で行われているのですよ、お父さんお母さん知ってましたか?トレイルランナーよりももっとたちが悪いですよ、だってこれからを背負う子供たちがおかしな教育を受けているんですから。

一日に何校もの児童が山頂に立てば当然裸地化は進みます。歩いているときに石を蹴りながら歩く児童が多いということは、山の地面を掘りかえしているということです。入笠山山頂の裸地化は学校登山が大いに影響していると考えざるを得ません。今日歩いていたハイカーや登山者のみなさんはどんな思いでこの子供たちを見ていたか、学校のやることだから声に出して言えないんですよ。下の写真は大行列で登山者が登れない様子。

P1020840

この後、あまりにもヤッホーのわめき声が連呼されそのうるささに私は山荘を飛び出してその学校(青いジャージの写真の学校とは違う小学校)の先生に注意に行きました。

すると、富士見町に出かけたオーナーが役場で注意されたそうです「大事なお客さんになんてことを言うんだ」って、あきれました。役場に言う教師もあきれるが、こんな迷惑な団体を擁護する役場も役場です。

何度も言いますが、私は「学校登山をやめさせろ」と言っているわけではありません。学校登山を受け入れるモデルケースを長野県や地域市町村が率先して作っていけばいいのだと考えています。

教員に自分たちで勉強しろと言っても無理ですから、地元の案内人や山岳ガイドが山について先生や児童に教える。一日に登れる校数を行政が管理する、登山の時間帯も考える、少人数のグループで班編成をしそこに案内人やガイドを付ける、山頂では全員集合せずにグループごとに記念撮影で下山、集合写真は下山後。とすれば地元の雇用にもつながるし、学校登山の新たな誘致にもつながります。何より、質の良い学校が登山に利用するようになるのではないでしょうか?前回も同じ事書きましたよ。

>「先生、もう一度「学校登山」の再考をお願いします!」

今日登った小学校にも、少人数でペースはゆっくり、先生方が子供たちに指導をしながら歩いている模範的な小学校もありました。その学校の先生方はリュックも正しく背負えていました。大声でわめき散らす小学校とは質が天と地ほど違いましたよ。

P1020834

今朝、久しぶりに大阿原湿原に行ってきました。木道を歩いていて何か違うな?と感じたのですが、それがわかりました。

入笠湿原やマナスル山荘本館前のお花畑のようにネットで囲んだり、うるさいくらいの看板がないんですよ。鹿が入り込んでいる足跡もたくさんあって、お花も荒れてしまっているのかもしれません。ただ、目に入る風景が自然のままなので心地よい気分になれました。ここにはホッとするような景色が残っていました。

 

Follow me!


学校登山をまたまた考える”へ2件のコメント

  1. 齋藤秀昭 より:

     「学校登山」に対する山口様のお考えはよく分かります。
     人数の件はともかくとして、それ以外のことは、すべて指導者の問題であり、登山のマナーをよく知らないというか、児童・生徒の安全面に関しては留意できても、山の自然やこの景色を次の世代に残そうとか、他の登山者に対する配慮とか、そういうものに、気を配る余裕がないのではないでしょうか。
     でもこれは、学校登山だけでなく、一般の登山者にも大いに言えることで、登頂することだけが目的のような方も少なからずいらっしゃいます。
     例えば、息を切らせて上ってくる登山者のすぐ横でタバコを吸っていたり、植物の上に大きなリュクを置いたり、ライチョウを見つけて大声で仲間を呼んだり、先に登った方が下りるのを待てずに、狭い山頂に我先に登ってきたり、枝を杖代わりに使って岩場に来たらそれを捨てていったり、こんな例はいくらでもあります。
     子供たちだけのことでなないと思います。
     人数については、100人を超えるようなパーティには、なかなか出会いませんが、富士登山の渋滞など、頂上付近での登山道をそれた登山者は、何百人もいました。剣岳のカニのタテバイでの渋滞も、10人ほどの団体が何組も順番待ちをしており、一般登山者に配慮するなどということはまるでありませんでした。
     普通の登山道でも、30人くらいの団体が通り過ぎるのをじっと待ち、やっと通り過ぎたかと思うと、また次の団体が来て、ほんのわずかしか前に進むことができなかったことが何度もあります。
     ツアーの方が先頭と最後尾についていてもそうなのですから、教員が100名もの子供たちを引率する場合、そこまで気が回らない方がいるのも無理のないことだと思います。
     人数の多い少ないにかかわらず、すれ違う時あるいは後ろに次の方が近づいてきたなら、団体が立ち止って、道を譲るという最低限のルールをもっとアピールする必要があると思います。
     入笠山は大好きな山の一つです。マナーのなっていない人には登ってほしくはないです。
     しかし、多くの子供たちにあの山のすばらしさ、景色や花の美しさを実際に見てほしいという気持ちもあります。
     教育に携わる者のはしくれとして、正しい山のマナーを子供たちに伝えていきたいと思っております。
     山口様のご指摘はごもっともであると思います。今後も山を愛する者の代表として、様々な視点からご教示いただければ幸いです。

    1. yamaguchi より:

      齋藤秀昭さま
      コメントありがとうございます、また私のブログについてのご理解ありがとうございます。
      確かに旅行会社のツアーなどにはまだ目に余る行為も多く見られますし、ブームの富士山やトレイルランニングなどにも同様な問題がたくさん存在します。
      私もことあるごとに当事者にお話しをし、注意をしてきました。
      それとは別に学校登山をなぜ問題にするかというと、それが教育の場で行われているからです。登山という文化を学校再度が大いに勘違いをしていると見受けられるからです。
      指摘している学校は一部で、少人数グループでグループ単位で登山をし、山のマナーを守れない児童には先生が的確に注意をするという学校も多く存在します。学校が登山という文化を正しく認識している学校とそうでない学校が存在しています。
      また、荷物の背負い方、山道の歩き方といった日常生活に密着する運動動作が正しく教育されていない問題もあります。
      日常に山道は無いという方がいるかもしれませんが、山道を歩けない子供は平たんな道も歩けません。
      私も子供がいて学校登山にこのような形で参加しているのであればすぐにでもやめさせたいと思いますが、学校行事だと子供の立場のを考えると批判や休ませることができません。そもそも間違ったことを学校行事で教員指導で行われていることを知らない親御さんがあわれでなりません。
      教員のみなさんがそこまで手が回らないのであれば信州山案内人の皆さんに指導をしてもらうなどの手は打てると思いますし、手が回らないのであればやめるべきだと思います。
      子供たちに山の素晴らしさを感じてもらうためにはそのセッティングやプログラムは非常に重要です。ぜひ山を愛する教育者のみなさんで子供たちに山の魅力を教える教育の仕組みを確立していただければと思います。小学生高学年なら地図を見て山頂を目指すようなプログラムも十分可能ですし、子供たちもその力を持っています。

      齋藤秀昭さま、コメントありがとうございました。お返事に失礼な言い回しもあったかと思いますが、私の正直な気持ちとして受け止めていただければと思います。また、このような議論を直接お会いして深めてみたいものです。

      本当にありがとうございました。
      山口信吉

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。