あまりにも無責任な(1/25)

入笠山の山小屋、マナスル山荘本館の山口です。

2022/01/25

ここ数日の日中はぽかぽか陽気だったが、今日からまた冬らしい風に変わった。入笠山の西斜面から強い季節風により雪が飛ばされて積もり、山荘周りには吹き溜まりが例年になく多く出現している。

雪の季節になると増えるのが忘れもの、落とし物の問い合わせ。訪ねてくる人は思っている場所に当然あると自信たっぷりに指示してくるが、その場所で見つかることはほとんどない。「大事なもの」だとか「記念にもらったもの」だからと理由付けしてくるが、それほどのものならきちんと管理しなさいと言いたくなる。

例えば「モンベルの○○色のストックです」と言われても、同じものを使用している方が宿泊していたりすれば安易に見つかりましたとは言えないことがわかるだろうか?つまり山荘を利用している人がいればそこにあるものは山荘スタッフでも誰のものか簡単に判断できないということである。

たいていジャケットのポケットに入れたものがなくなった、ザックのサイドポケット入れたものがなくなったということが多いようだが、そんなところに収納すればすぐに落としてしまうことが想像できないようでは登山者としても失格であろう。登山は推測や想像がという志向が必要な世界だ。

山での忘れ物は着払いで送ってもらうのが当たり前のように考えている人が多いのも困りもの。我々の時間(いやお客様をお相手する時間)を奪い探し、山荘が購入した資材で梱包する、送り状を書く、宅配業者のある所まで背負う、発送するという手間賃や時間給は着払いでは発生しない。自分の忘れ物の送料だけしか考えず、我々の時間を奪い手間を無償で行わせる大変失礼な行為だと思っていただきたい。

そもそも落とし物は本人のものと特定できなければお渡しすることはできない。山のアイテムは同じメーカーのものも多く、名前などの記載がなければその人のものとは特定できない。特にスマホや財布などの貴重品についてはSNSに投稿して「拾いました」と投稿する施設や登山者も見かけるが、悪用されたらどうするのだろう。投稿を見て「私のです」と悪意ある方が申し出ればその人の手に簡単に渡してしまうことになる。

「忘れ物や拾得物は拾った人が責任をもって警察に届け、警察が持ち主のものか同定する。山小屋で忘れ物を預かることはトラブルに結び付きかねない。」かつて勤務していた北アルプスの山小屋で、忘れ物の対応に困って長野県警に問い合わせた時の答えである。

私の山荘では忘れ物が特定できた場合、ご本人に梱包資材や送状を用意してもらいそれが届いてからお送りするようにしている。梱包資材が不足して運送中に不具合が発生してもご本人の責任だし、送料もご本人が納得して払うことだろう。たいていこのお話をすると要らないので処分してくださいと言われる人が多い。それは大切な記念のものではなかったのですか?自分の忘れ物に対して、そのくらいの責任感がなくてどうするのですか?

山小屋が困っているとの声が感染拡大時から引き続き聞こえているが、このような些細なことのように見えることも山小屋には負担であることをご理解いただきたい。もし私は別に気にせず着払いで送っていますという山小屋があればそれは「落とし物を特定していない」「別に儲かっているから山小屋の負担なんて気にしていない」「経営や収支のことはわからないので適当でいいと思っている」のいずれかであろう。

この冬は例年になく積雪が多く、ほとんどの登山者がヒップそりをザックに括り付けて登っている。そり遊びでいろいろなものをなくす方が多いのだろう、雪解けの時期にはいろいろなものが雪の中から現れる。問い合わせのないペットボトルの落としものを拾い歩くのは春の恒例行事となっている。

私の山荘の廃棄物はすべて事業ごみとして有料で指定業者にお願いしているので、集めた落し物の処分費用も山小屋の負担であることも覚えておいていただきたいと思っている。

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あまりにも無責任な(1/25)”へ8件のコメント

  1. 菊池ちづえ より:

    あれこれ、を拝見して。とってもヨク分かります!うち(小さな素泊り宿、登山者がよく前泊するか‥)に来るお客様も、同様な感覚で、繁盛期に平気で何度も、やっぱり其方と電話され、後日、知らせて頂けるたのは良いが、有りました!と。勘違いだったのです。。忙しい最中にあちこち探しまくる。掃除の人にも電話する。。この手間を想像出来ない人が、何が、自然が好き!。優しく抱かれる。。だのと言えるのかと、つい思ってしまいます。余りに共感できるので‥初コメント。失礼しました。

    1. yamaguchi より:

      ありがとうございます。
      批判覚悟で書きましたが、ご理解していただける方にお会いできてうれしく思います。
      このようなことは山のメディアも全く触れないのであえて書かせていただきました。

  2. ビーフシチューを食べたい! より:

    十分に納得出来ました!!

    言われなければ分からない・・想像する力が足りないとも言えますが。
    でも、事情が分かればきっと理解されると思います。 
    これは、HPにも、お宿にも、忘れ物の対応は出来かねる(理由も添えて)・・と告知して頂くことが大事と思います。
    山荘を利用して沢山の美しい景色に出会うことが出来た登山客の一人の意見として、ご一考いただければ幸いです。

    1. yamaguchi より:

      ありがとうございます。
      忘れもの落とし物の対応は品物や場面がいろいろなのでなかなかまとめにくいこともあり、
      手つかずになっていましたが、今後サイトでお知らせしたいと思います。
      アドバイスありがとうございます。

  3. より:

    こんにちは。
    先月、マナスルへ宿泊させてもらいました。
    グローブもストックも、同じメーカーのものを使ってる方がいらしたので、色やメーカーだけを言われても特定出来ないし安易に渡せないというのを読んで流石だなと思いました。
    基本的な事ですが名前を書くという事と、落としそうな所には入れない、忘れ物がないか必ずチェックするということをしっかりしたいと思いました。

    1. yamaguchi より:

      ご宿泊ありがとうございました。

      持ち物には名前を書く、が基本ですね。
      名前をちゃんと書いている方も多いのですが、名前を書かない、自分の持ち物の管理ができない登山者が増えているようです。
      自分の持ち物に愛着がなくなっているとも感じています。
      山のメディアもこんな基本こそ取り上げてほしいです。

  4. 匿名 より:

    アウトドア用品小売です。
    全面的に同意です。
    甲乙での認識の違いは日々感じてます。
    場合によっては処分にもお金(経費)かかります。
    その経費納めていただいても、その労力(人件費)は?
    再度、全面的に同意です。

  5. 東村山市、古川太亮 より:

    労働力や目に見えない費用のほか、間接的に大変なご苦労の
    あるのが山小屋経営の原点と理解しております。
    大変ご苦労様です、普段のいろいろ恩恵に厚く感謝致します。
    山口社長はじめスタッフの皆さま、健康第一に留意され業務に
    精励されお客様に喜んでいただいて下さい。
    今後とも応援させていただきます。

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