グリーンシーズンの営業開始日であった朝に(4/25)

入笠山の山小屋、マナスル山荘本館の山口です。

昨夜の雪に、春の日差しが差し込んで、今年のGWは絶好の登山日和でスタートしました。今日からグリーンシーズンの営業スタートです。

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と、何事もなければこんな感じだったのでは?今日のブログの書き出し。

残念ながら5月6日まで営業自粛(休館ではなく、自主的に判断した営業自粛)により、お客様をお迎えすることができません。本当は今頃はランチの準備で大わらわだったろうな、ランチの営業時間に間に合うかと焦って厨房を走りまわる姿が想像できます。

GWにはフルとはいかなくても、営業再開ができることを望んで対策を立ててきましたので、営業できない状況が長引くことは残念でなりません。登山だけでなく、GWに人が動けるか否かは日本の国において経済の大きなポイントであることは間違いないこと。登山界ももっと早く動いていれば、と残念な気持ちでいっぱいです。

山岳スポーツ愛好者の皆様へのお願い/山岳四団体

公益社団法人 日本山岳会

いまこの時期、行動してはいけないし、山に登ってはいけません。けど、この声明は4月20日、残念ですが遅すぎましたね。

登山界の要職にある方々、山の雑誌、山岳ガイド、山小屋関係者、観光に関わる方々・・・今後どのように登山が始められるとイメージしているのでしょうか?

GW後には感染がピタッと治まる?夏はいつも通り登山者でにぎわう?

そんなことはあり得ないと私は思っています。徐々に自粛は解除されるものの、山に行くことを良しとしない人と登山する人との批判合戦がこれからしばらく続くのではないかと懸念しています。

そのためにも、4団体の声明には今登山者はどのように判断し、行動するのか。どのような状況になった山に行けるのか、その時の条件は、などの具体的な指針が含まれているべきと思いました。

感染症対策では各山小屋は一人当たりのスペースを確保し・・・という方針を打ち立てたところがほとんどだったでしょう。でもこの夏、例年通りの営業が再開できたとしても、山小屋利用者が例えば50%削減したら、そのままの営業スタイルなら、売上や利益も50%も減ってしまうんですよ。場合によっては経営破たんする山小屋もあるのでは?

  • いま「山に行くな」といっている人たちは、この夏に山小屋料金が値上がりしても快く受け入れますか?
  • 昨年にヘリ問題にはヘリ代の高騰も問題視されていましたが、ヘリの荷揚げ運賃南下捻出できない事態も起こりうるかもしれないのですよ。
  • 今後もこのような感染症拡大があるとしたらその対策は?雨水や流水を滅菌せずに使うことはいいのですか?

山小屋関係者なので山小屋中心の話をしましたが、山岳ガイドはどのような状況で山の案内は再開できるのでしょうか?まさかいまこの時期に、こっそり山にお客様をお連れしているガイドさんはいませんよね?

「いま山で怪我をし、レスキューを頼むなんてけしからん」てきな登山自粛コメントもちょっと違和感を感じています。もっと本質的な部分で山に入ってはいけないと説明できないのかなと。子供が騒いで「あのおじさんに怒られるよ」的な叱り方。状況的に医療機関の崩壊は加速度的に進んでいることは理解しています。COVID-19による状況は感染拡大よりも医療崩壊を防ぐことにステージが移っていると考えています。

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うちのようなこんなちっぽけな山小屋でも、3月末にはこのような判断をしました。このままではGWどころかその先も営業が続けられなくなると。3月の初めには、北アルプスの山小屋関係者にも「このままだとGW営業できないよ、どうする?」と聞いていたくらい危機感を持っていました。

SNSに「いつか山に自由に登れる日が来ます」なんて、能天気なことを言っている山に関わる全ての方々に、

  • 登山再開へのステップ
  • 昨年のヘリ問題
  • 山岳遭難対策
  • 山小屋衛生問題(国立公園内の山小屋に公的な資金が導入されるのであれば、各山小屋間の衛生環境格差は是正するべきだと考えています)
  • 登山というレジャーのありかた
  • 山小屋のありかた
  • 登山者のありかた

いまだから考えることができる課題がたくさんあります。山の団体や山の雑誌も、この時期だからもう少し骨太な主張が欲しい。でなければ、山なんて各施設や人の個別問題。そんなことに声明なんて発表する必要もない。

医療崩壊を防ぎ、コロナだけではない病気やケガにきちんと向き合える医療現場を取り戻すために、今は山に行ってはいけない考えます。早く事態が収束(医療が正常化する)ために、GW中は旅行や登山はやめてください。目的は登山禁止・自粛ではありません。

マナスル山荘は今回の休業中でも、従業員・アルバイトの解雇はしていません。営業自粛期間中は自宅待機とし、契約通りの給与をお支払いしています。会社として、経営者として、事業継続のための各支援策はすべて手続きを進めています。納税も猶予制度を使用せずに、すべて期日までに納めています。やるべきことはやっている事業所/経営者の意見として書かせていただきました。

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何度も言いますが、登山禁止・自粛が目的ではありません。状況を冷静に判断し、自分がやるべきことをすればいいのです。それができなければ、山はどんどん逃げていきます。そして、これからの登山が問われています。

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グリーンシーズンの営業開始日であった朝に(4/25)” に対して5件のコメントがあります。

  1. 矢野 悦郎 より:

    コロナウイルス対策と経済安定、相反する問題ですよね。その上でも医療崩壊を食い止めるための数々の施策。相反する環境の中で我々は今何をなすべきか。先が見えない中でストレスも溜まり、不安が希望を押し殺すような中、『別に山小屋使うわけでもないし、遭難するような山でもないから』と里山、低山に人が溢れているのが現状。4団体が出した声明、実はご存知でない方の方が多いかも知れません。
    近くの芝生のある公園なんて、普段は見向きもしないのに今は小さなテントや家族連れで混雑しています。
    国も資金が足りなくて、国民に要請しか出来ない。その中で一人一人の判断が求められています。
    僕が出来るのは家の中でクスッと笑って貰えるSNSの投稿くらいです(笑)
    隊長の投稿も楽しみにしています。
    諦めずに今の思い、一人でも多くの方方々に届くよう頑張って下さい。
    お会いできる日を心待ちにしています。

    1. yamaguchi より:

      ありがとうございます、心に沁みました。

  2. 坂本 より:

    ソーシャルディスタンスを確保して登山!
    あり得ないです。そんなの自分が求める山じゃありません。
    今考えるのはアルピニズム。

    何故登るのか?
    山とどう接するのか?
    他者への思いやり。

    そうした事を考えると他者とのソーシャルディスタンスを確保してすれ違いも声を発せずマスクや消毒液を装備。
    どう考えても健全じゃ無い。むしろ気持ち悪いです。

    晴れの日も雨の日も雪の日も、その時その時目にした景色を仲間と又見知らぬ顔の人とも共感して辛い時でも励まし合って困ってる人がいれば助けになって、本来の山はそういうもんですよね。
    緊急事態宣言が解除になったとしても自分の求める山じゃありませんので行く気になりません。
    今はコロナ禍という目に見えない山をどうやって踏破するか、災いを共感して辛い方を勇気付けて困ってる人の助けになって。
    この山を踏破した時に見る景色がどんなものか?
    ある意味今も僕は山にいるのと同じなのかもしれません。

    山口さんも厳しい毎日が続くと思いますが、どうかお体を大切になさって下さい。

  3. 井上 より:

    ここにお書きになるということは、
    いろんな意見があるということをお含みの上でお書きになったかと思います。
    なおかつ、業界の方だけでなく、
    ユーザーに向けてもお書きになっていると思います。

    自分も経営者ですが、
    経営を学ぶ上で、行動経済学を学ばれたことはおありでしょうか。
    囚人のジレンマという理論がありますが、
    正論を振りかざしても社会問題は解決しない、
    というのは、少なくとも行動経済学において水が上から下に落ちるというのと同じような真理です。

    ユーザーと一緒に登山業界を考えようというのは、
    他の業界ではあまりみませんが「正論」かもしれません。
    (それはきっと業界の良いところでしょう)
    しかし、それをするのであれば、
    出資、経営責任を伴うのが経営の考え方です。
    (いっそのこと山小屋を半・クラブ財にするのも手かもしれませんが、極論の類いでしょう)
    同じ経営者として、
    経営を放棄されてるようにも感じてしまいます。

    上記の点から、
    登山業界の発するメッセージには違和感を感じます。
    同じ経営者、かつ一人のユーザーの一つの考えとして聞いていただければと思います。

    私は何度かそちらにお邪魔しており、
    マナスル山荘さまの価値観がとても素晴らしいと感じています。
    現在の状況は山口さんが危惧される通りですが、
    ある一定のフェーズにおいては、
    大きなビジネスチャンスが来ると考えます。
    一人のユーザーとして応援しています。

  4. 杉本 より:

    私は上高地の山荘で今シーズン働く予定でした。
    何回も入山が延期になっています。
    山が大好きで、むしろ東京にいるより安全だから
    ここで働けるなんて幸せだ、なんて2月の時点では思っていました。
    登山者から働く側の立場へ。
    『文化』『娯楽』等が真っ先に切り捨てられていくのが悲しくて辛い。どちらの立場でも。
    どの業界も今後の在り方、変革に向けて
    たくさんの批判を受けながらも考えて行動していってくれています。
    ただ待つだけではなく、私も個人として何ができるのか?
    体を動かせない分、頭を働かせて考えていきたいです。
    収束した際は必ずまた入笠山に行きますね!

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