歩荷のススメ

入笠山の山小屋、マナスル山荘本館の山口です。

山のギアやシューズ、背中に背負うザックとその中身もまずは軽量化と考えている登山者はとっても多いと思います。今日はここに切り込んでみたいと思います。

現在の登山愛好者で歩荷をしたことのある人がどれくらいるのでしょうか?ちなみに歩荷とは「ボッカ」と読み、山の上に物資を運ぶ行為や運ぶ人を指す言葉です。尾瀬の木道を背負子に背より高い物資を背負って荷揚げする歩荷さんは想像できるでしょうか?

あるいは強力(ごうりき、剛力とも)、新田次郎氏の小説「強力伝」の主人公は富士山頂に荷揚げをする歩荷でした。

私も山小屋で歩荷しました。高校のワンゲル部時代には、キスリングに石を詰めて重量を増やして登る、歩荷トレーニングというものがありました。

では、なぜ歩荷をススメるのか?

最近の軽量化の流れは、登山という歩行技術を忘れさせてしまったと私は考えています。軽量化により、山を登る、下りるという動作が下手になってしまったのです。

ここでの歩荷は広い意味で重いザックを背負うということにしましょう。体重の1/2〜2/3のザック重量としましょうか。結構重いですよね。このザックを背負って走ってください。走れますか?走れない方は歩き方のできていない人。登山でも蹴って足を伸展して登っている人。とても疲れる歩き方です。

では、どうしたら走れるか?歩きの上手な人は走れます。足で踏ん張るのではなくて、チカラを抜く感じでスッと膝を抜くと足が前に出ます。背中に重いザックを背負ったら足のチカラをスッと抜いて膝を前に出さないと歩けません。普段と違う筋肉が使われていると思いませんか?歩荷をすると理想的な足の運びと体幹を使った正しいバランスが身につくんです。

重いザックを背負うと、足の置き場にも気を配ります。いつもなら何も考えずに登ってしまうステップも、途中に足の置き場がないかを探します。無理なく歩ける足場をきちんと探して歩くことができるようになるのです。

最近、山での転落、転倒の事故が多いですね。重いザックを背負って歩いた経験がなく、山での歩き方が身についていないからではないかと私は考えています。歩き方が身についていなければダブルストックを使おうが、バランスの悪い疲れる歩きしかできません。3000m級の山岳ではヘルメットの着用が当たり前のようになっていますが、転倒後のダメージが軽く済むだけであって、転倒そのものを防ぐことにななりません。正しい歩き方をマスターすれば、ヘルメットがなくても北アルプスの一般路は心配なく歩けます。ヘルメットを着用していればどこでも登ってもいいと思っている、意味を履き違えた登山者も増えているような気がしてなりません(落石には効果的ですが)。

山でなくてもいいです、山のトレーニングとして背中に重量のあるザックを背負って歩いてみましょう。階段のあるところでの登り下りは今後の登山にプラスになります。あくまでも無理のない重量で。

その昔、山岳部や山岳会で行われていた歩荷トレーニングは単なるシゴキではなかったんですね、正しい歩き方を身につけるトレーニングだったんです。この時代に歩荷をした方は、もうだいぶお年でしょうが、山の正しい歩き方が身についていると思います。

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台風接近前の今夜の星空、天の川もよく見えています。明日も晴れそうですが、この晴れ間に気を緩めないようにしてください、台風は着実に進んでいますから。

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歩荷のススメ” に対して1件のコメントがあります。

  1. カール より:

    歩荷 素敵です
    背負子が欲しいです
    150キロくらいの対応しているものが欲しいです
    負荷重量がギリギリだと早く壊れるからです
    そのように聞きました
    屋久島に行った時のガイドしてくれたおじさんが背負子でした
    かっこよかった

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