最近の山の遭難について(1/22)

入笠山の山小屋、マナスル山荘本館の山口です。

最近ニュースで聞かない日がない、バックカントリーの遭難についてちょっと意見を言わせてください。

昨日、山荘前の斜面をスキーで滑ってきました。スキー場のコース外であり、バックカントリースキーです。

http://youtu.be/QqhU_ycGSMM

地図もコンパスも食料もヘッドランプも持っていません。スコップもビーコンもプローブも持っていません。

正月に新潟県湯沢町の神楽ケ峰でバックカントリーでボードで滑って遭難した3名がニュースになりました。雪の中でビバーグ出来る装備や技術を持って救助されたにも関わらず批判の嵐です。

湯沢で救助された3人も請求 スキー場コース外遭難の代償

私はなぜ批判されないのでしょう?

この遭難を皮切りに相次いだスキー場からのバックカントリー遭難、批判の大部分が「コース外滑降」に向けられているようです。そもそもコース外滑降とは、スキー場の管理エリア外であり、自己責任において立ち入りは自由です(私有地で立ち入りを規制している場所もあります)。まず、コース外(管理エリア外)と管理エリア内の立ち入り禁止区域の違いを認識しましょう。

スキー場のリフトやゴンドラを使っていますが、コース外に進入するバックカントリー滑降では、自然の猛威に対するリスクにも自己責任で回避や脱出する技術や知識が必要です。なければ安易に入るべきではありません。でも、そのリスクに対して、結果的に遭難という事態になったとしても、セルフレスキューの努力をし、生きながらえて救助された案件については安易な批判をするべきではないと思います。

毎日報道されるバックカントリーの遭難のニュースの中には、安易にパウダーを滑りたいという無知なボーダーやスキーヤーもいます。いや、何も考えていないけど、たまたま無事に滑り降りられたということが毎日起きているのかもしれません。

私が昨日の滑走で批判されなかったのは、何事も無く山荘に戻れたからです。なぜ何も持って行かなかったかというと、何も必要ないと状況判断したからです。何も持っていなくても無事に下山すれば、何も批判されません。

詳細を調べたわけではありませんが、いまバックカントリーに入る人々の意識は批判する人たちの考え以上に高いと思います。知識、技術、装備、気象、雪の状態などかなり高いレベルで勉強しているようです。私が十数年前に山スキーのガイドをしていた時よりも、スキルは相当上でしょう。

山の遭難はひとつのミスで起こるわけではありません。登山届を提出していないことを批判する書き込みも多いですが、登山届は遭難には何も関係ありません。複合的な要因がいくつも重なって遭難という事態に陥ります。その原因を批判ではなく、ひとつひとつ解きながら次への教訓としていくことです。そのような報道がないのは本当に残念です。登山届未提出だけで記事を書くジャーナリストはもっと勉強して下さい。遭難や山の事故で痛い目にあうのは当事者です。次はいかに回避するかの検証無くしては事故は減りません。

山で遭難しないため身につけるスキルはとても多岐にわたり、全てをマスターすることはなかなか容易ではありません。なので、「引き返す」「登らない」「止める」という選択肢がそのスキルをカバーすることになります。また、雪山で営業する山荘を利用することもスキルのカバーの選択肢です。冬の入笠山で、マナスル山荘本を利用して、冬山のスキルアップをしましょう。

近頃のニュースを見ていると、バックカントリーがひとつの批判キーワードになっているようです。SNS全盛で、山のミスも言い訳できてしまう時代です。的確に事故や遭難の本質を見極め、自分に当てはめ検証してください。批判からは何も生まれません、と自分にも言い聞かせましょう。

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最近の山の遭難について(1/22)” に対して1件のコメントがあります。

  1. okimi より:

    山口さま
    夏に2泊しました。君野です。
    おいしい食事を楽しみにシテイます。そのごレパートリは広がりましたか。学生のとき春休みはスキー担いで、2週間入笠山にこもりました。鐘打山荘とゆういまはなき山荘でした。
    そこの親父さんにスキー指導していただき上達しました。
    もう50年前の思い出です。ではお会いする日を楽しみにしております。おきみ拝

    1. yamaguchi より:

      okimiさま
      コメントありがとうございます。
      冬は夏と違ったメニューでした。これからのグリーンシーズンも新しいメニューを考えています。
      鐘打山荘はいまも建物は残っていますね、当時の山は今とはずいぶん雰囲気が違っていたのでしょうね。
      またお会いできるのを楽しみにしています。

      ありがとうございました
      山口信吉

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